死体が発見された雑木林
またもや凄惨な事件が起きた。タイトルに「アニメ」と含めているのは、アニメを槍玉にしたい
マスコミが存在していることを強調するためであり、まずは事件の顛末を読んでいただきたい。

神奈川県横浜市磯子区の雑木林で山口あいりちゃん(6)とみられる女児の遺体が発見された。
この事件で容疑者として逮捕されている建設作業員八井隆一容疑者(28)供述によれば、あいり
ちゃんを11時ごろから翌早朝まで殴る、蹴るの暴行を加えたほか、浴槽に頭をつけるなどし、躾
と称して虐待を加えたとみられる。

山口容疑者はあいりちゃんの母親である山口行恵容疑者(30)の元交際相手であり、八井容疑者
が殴ったために死亡したと供述しているという。一方で八井容疑者は娘を叱って欲しいと頼まれ
て暴行したと供述しており、山口容疑者もあいりちゃんに暴行を加えていたと供述している。

死体遺棄に関して、山口容疑者は八井容疑者に暴力を振るわれることを恐れて協力せざるをえな
かったと供述しており、この事件は連れ子を疎ましく思う新しい交際相手が、感情に任せて子ど
もを虐待死させた事件として扱われていた。しかし、取り調べと警察への取材が進む中で、どう
やらそうではないのではないかという報道がなされるようになった。

まず、悲劇の母親という形におさまりかけていた山口容疑者であるが、以前より出会い系サイト
(一部報道ではSNSないしコミュニティーサイト)を利用し、出会った男性宅に泊まり込むとい
う生活を続けていたという点。あらゆる地域を転々とするために、娘を小学校に入学させずにい
た。また、近所の人の話では、常に携帯電話に夢中で、子どもの相手をしている様子は見受けら
れなかったという。更に、以前交際していた男性は、山口容疑者が恒常的に娘を虐待していたと
証言し、これについては児童相談所も把握、対応していたが、住所不定であり、強制的に保護す
ることもできなかったようである。

さて、この事件の問題は、幼い命を虐待から守れなかったという主題と、「アニメ」という使い
勝手のいいテーマをマスコミがどのように扱うか注視すべきという、主題に比してごくごく小さ
な副題にわけられる。あいりちゃんを虐待死させるに至った理由は、アニメの視聴を邪魔したた
めであり、警察が八井・山口両容疑者を潜伏先の茨城県で逮捕したのは、レンタルビデオ店の店
員が「以前は洋画を借りていたのに、突然アニメばかり借りるようになった客がいる」と話した
ことがきっかけとなっている。山口容疑者は以前より「特定のアニメ」を頻繁に見ていたという
情報を得ており、ここからレンタルビデオ店で聞き込みを行った結果、今回の逮捕に至った。

山口容疑者とあいりちゃんの所在がわからなくなったのが今年3月中ごろで、逮捕される4月末ま
での間、あいりちゃんを殺害し、単身逃亡生活を送っていたのかと思えば、そうではなく、出会
い系サイトで新しい男性と知り合い、逮捕時に新しい交際相手と同居していたというのだから、
開いた口が塞がらない。

これで怒りを覚えなければ人ではないというほどの、卑劣な外道の背景にあるものとして、今後
取り上げられることが予想される、コミュニティーサイト(インターネット)とアニメ。ここに
すべての問題を集約し、溜飲を下げんとする連中が出ないとも限らない。確かに、世間一般の感
覚からすれば、それで納得できるのかもしれない。しかし、それでは問題の解決にも、再発の防
止にもつながらない。この点に注視するとともに、今はあいりちゃんの冥福を願うばかりである。